この夏、神奈川の古い地図などを入手して楽しんでいる。
最近は旧版地図を閲覧できるサイトもいくつかあるけど、
範囲・縮尺・年代は限られるし、Webより紙なお年頃。
いまだに、ツーリングマップルを買うのと一緒か。(笑)

汽車旅派の頃は、時刻表を「読んで」机上旅も楽しんだ。
旧道・廃道・産業/土木遺産好きのバイク乗りの現在は、
地図を読みながらタイムトリップ&机上ツーリングなど。
実際にお散歩ツーに出かける時の、ネタにもなりそう。
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 人文社 1/20000 広域市街地図「厚木・丹沢・大山」

オークションで落札した、「1/20000 厚木・丹沢・大山」。
今は無き人文社から出ていた、「広域市街地図」シリーズ。
ポイントは、1991年2月という絶妙な時期の発行であること。

ダムに沈む前の宮ヶ瀬の地図が欲しいと思っていたけど、
宮ヶ瀬ダムの試験湛水が始まる1995年10月の少し前の版で、
現道の予定線(点線)とダムの湛水域(斜線)も併記されている。
現道と「湖底に続く道」を比較するには、ちょうど良い版だ。
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 旧道に加えて、現道予定線とダム湛水域を併記

nyaponが神奈川に来て、初めて宮ヶ瀬のあたりを走ったのも、
ダムの試験湛水が始まる少し前の、ちょうどこの時期だった。
土山峠からのK64付け替え道路の開通が1994年11月なので、
その直前にシルビアでnyamo氏とドライブに来たのだろうな。

今は片勾配に見える土山峠を越えて、クネクネと谷を下り、
BBQのメッカだったという中津川の河原の脇の橋を渡って、
宮ヶ瀬集落で右折、さらに左折して谷上の現道への連絡道に。
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 土山峠からの下り坂(上はK64現道 七曲橋)

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 現道への連絡道の坂道(上はK64現道 やまびこ大橋)

宮ヶ瀬湖を訪れるほとんどの人が渡る、やまびこ大橋。
今は橋桁から見下ろしても水面が近いので意識しないけど、
実際は下の写真のように、すごい高所でV字谷を渡っている。
虹の大橋も高いけど、高所恐怖症だと耐えられないレベル。
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 書籍「ふるさと宮ヶ瀬 -渓谷の村から-」より

落合集落からは、川沿いにR412方面と鳥居原から鳥屋方面。
どちらも、地図上には既に「一般車輌通行不可」の注記が。
R412方面は、ダム堤体工事でもう物理的に通れないはず。
鳥屋方面に上り切ると、現在の「いつもの駐車場」あたり。
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 鳥屋方面への上り(背後が鳥居原)

そして、宮ヶ瀬集落を南へ直進するとヤビツ峠方面 K70。
現道は、湖畔の高い位置を橋や桟道で直線的に進むけど、
旧道は川に沿ってクネクネと谷を遡っていた。
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 K70 旧道(背後がヤビツ峠方面)

愛川町を眺めてみると、当然ながら平山橋がまだ鉄橋の方。
ん? 海底橋がまだあるけど、これは1991年には無いよなぁ。
三増峠のトンネルは?と思ったら、ギリギリ見切れてる。
1992年の竣工らしいから、発行時点では不通区間だろう。

「古地図」というほどではない、「ちょっと古い地図」。
当時の風景を知っていると、色々と懐かしい場所が見える。

旧道・廃道好きの趣味的観点で興味深いのはもちろん、
生まれ育った土地があの深い湖の底に沈んだ方々のことも
忘れないでおかなくては、と思う。